この度ANAのマイルを使って、マニラまでビジネスクラスで往復する特典航空券を発券しました。
しかし、単純にマニラまでビジネスクラスで往復する旅行では面白くありません。
今回は複数都市の経由やストップオーバーを駆使し、
- 5つの航空会社のビジネスクラス7本に搭乗
- 3泊4日のマニラ旅行+2泊3日の台湾旅行
という複雑な行程を組んでみました。
航空券を全て現金で購入した場合、総額70万円を超える旅行になりましたが、それがたった43,000ANAマイル+αというマイルで実現。
本来「1マイル=2~4円」と言われるマイルの価値ですが、なんとこの旅程ではマイル単価が15.4円と、異次元のハイパフォーマンスを叩き出しました。
今回の記事では、発券したルートや搭乗する飛行機の紹介を交えながら、
「貯めたANAのマイルは、どう使うのがお得なのか」
「余るほどのマイルはないけど、出来ることならビジネスクラスを楽しみたい!」
とお悩み/お考えの方に、旅程の参考となればと思います。
1. 今回の旅程のルート
今回のマイルで発券した旅行のルートは
石垣→東京→上海→台北→マニラ→東京→台北→ソウル(仁川)→大阪(関空)
となっています。
発券の旅程はこんな感じ。
このルートを地図に示すと以下のようになります。
地図にすると東京周辺や台北がごちゃごちゃして、逆にわかりづらくなるほどの日程…。
今回の旅行は大きく分けると3つの行程に分割することができますので、順を追って説明します。
Part1:石垣→東京の片道航空券
今回のマイル発券の出発地は沖縄県の新石垣空港です。
石垣島から東京までのANA国内線が1本目のフライトとなります。
東京に住んでいる私は一度石垣島へ向かう必要がありますので、LCCとか早割等で券を確保しておきます。
今回は出発地を石垣島にしましたが、これは綺麗な海が見たかっただけで、日本国内の東京以外の空港だったらどこでもOKでした。(詳しい理屈は後ほど説明します)
Part2:3泊4日マニラ旅行
石垣島から東京に帰ってきたら、翌日から3泊4日マニラ旅行のスタートです。
なぜフィリピンのマニラにしたかというと、43000ANAマイルで訪れられる都市の中で、東京から最も遠い都市がマニラだったためです。
- グアム
- 台湾
- 中国大陸
- フィリピン(マニラ)←今回の目的地
- 香港
- マカオ
単純に「東京→マニラ」「マニラ→東京」という便を選択することも可能ですが、せっかく同じマイル数を使うなら、たくさんのビジネスクラスに乗ってサービスを満喫&比較してみたいですよね。
ということで、マニラまでの行程に上海と台北を経由させることにしました。
そのルートが下のようになります。
経由地を2つ設定したことで、4本のビジネスクラスに搭乗します。
- 成田→上海…ANAビジネスクラス(B787-8)
- 上海→台北…中国国際航空ビジネスクラス(A330-300)
- 台北→マニラ…エバー航空ビジネスクラス(B777-300ER)
- マニラ→羽田…ANAビジネスクラス(B787-9)
具体的なルートや飛行機の紹介は後ほど行います!
羽田に帰ってきたら、次の台湾旅行までの1ヶ月弱の間は日常に戻ります。
Part3:2泊3日台湾弾丸旅行
マニラから帰ってきた約1ヶ月後の土曜日、今度は台湾に向けて出発します。そのルートが次の通りです。
台湾到着後はソウルの仁川を経由し、関空に到着して特典航空券は終了となります。
- 成田→台北…エバー航空ビジネスクラス(B787-10)
- 台北→ソウル…タイ航空ビジネスクラス(B777-300ER)
- ソウル→関空…アシアナ航空ビジネスクラス(A350-900)
関空から東京に帰る便は、25歳以下のみが購入できる「スマートU25運賃」を購入します。
この3つの旅程を合わせると、一番初めにお見せした地図のような行程になるわけですね。
それでは次に、このような変態的とも言える発券が何故可能なのか?を説明します。
2. 変態ルート発券が可能な理由
そもそも今回の特典航空券では、マニラ旅行と台湾旅行を1つの発券で実現しているわけです。
と疑問に思う方もいるかもしれません。
この発券で重要なポイントは、東京に住んでいても「東京を経由地とする」ことです。
「地方発」「地方着」に設定する
今回の旅程を往路と復路に分けて考えると
往路:石垣島→マニラ(経由:東京、上海、台北)
復路:マニラ→関空(経由:東京、台北、ソウル)
というルートになります。
ANAの提携航空会社の特典航空券のルールでは、「往路復路ともに、出発地と目的地は経由することはできない」という規定になっています。
そこで出発地と到着地を東京以外(今回であれば石垣と関空)にすることで、東京での経由やストップオーバーが可能になります。
経由…目的地への往復の途中に、24時間以内に乗り継ぎすること
ストップオーバー…目的地以外に、24時間を超えて滞在すること
往路では東京を経由することで荷物を自宅で整理でき、復路では東京でストップオーバーを入れることで、マニラへの旅行と台湾への旅行を分割できるのです。
ルール上の上限をフルに活用しよう
ANAの提携航空会社の特典航空券では、1回のマイル発券で複数の飛行機を乗り継いで飛行機に乗ることができます。
普通に東京発マニラ着で航空券を検索しても発券することはできますが、それだと行きと帰りの2本にしか乗れません。
更に言えば、日本発のANAの飛行機なので、特典航空券の数は限られて取れないことも数多くあります。
そこで複数都市でのルート検索でそれぞれ経由する都市を入力していくことで、最大枠の8本まで旅程に組み込むことができます。
スターアライアンスの提携航空会社が飛んでいる路線を見つけて繋ぐ、これで今回の変態的なルートが実現できました。
3. 搭乗する飛行機の詳細&見どころ
今回は合計で8本の飛行機に乗ることになりますが、その内訳は以下の通り。
- ANA国内線エコノミークラス:1本
- ANA国際線ビジネスクラス :2本
- 他社国際線ビジネスクラス :5本
43000マイルで8本ですから、1回の搭乗あたりの約5000マイル。
たった5000マイルで国際線のビジネスクラスに乗れるのは非常にコスパが高いです。
具体的な各フライトの簡単な説明と見どころを紹介します。
【第1レグ】石垣→羽田 B777-200 ANA国内線普通席
この便の2日前に片道航空券で石垣島に到着していますので、その帰りの便がマイルで発券した1本目となります。
機材はB777-200で普通の国内線普通席なので、特段珍しいものはありません。
ただ、石垣島からのANAの直行便は意外と高いので、片道分が無料になったと思えば大変お得です。
【第2レグ】成田→上海 B787-8 ANAビジネス
翌日から始まるマニラ旅行の1本目は上海までのANAのビジネスクラス です。
日本初のANAのビジネスクラスは非常に運賃が高く、有償の場合は片道で約25万円もします…。
なお機材はB787-8ですが、この東京上海線のうち1本だけ「ANA BUSINESS STAGGERED」が導入されたB787-8が運航されていて、今回はこちらに搭乗します。
3時間強という短い飛行時間ですが、我らがANAの安定感のサービスとフルフラットシートを堪能します。
【第3レグ】上海→台北 A330-300 中国国際航空ビジネス
上海で1泊し、次に向かう台北まで中国国際航空のビジネスクラスを利用します。
上海〜台北は距離も短いため2時間弱で到着しますが、今回搭乗するエアバスのA330-300は長距離線にも用いられる機材です。
シート間の間隔(ピッチ)がとても広いことで有名で、当然フルフラットになります。
【第4レグ】台北→マニラ B777-300ER エバー航空ビジネス
台北から前半戦の目的地であるマニラまでは、台湾のフラッグキャリアであるエバー航空を利用します。
エバー航空にはファーストクラスが設定されていませんので、最上級クラスがビジネスクラスとなります。
そしてビジネスクラスも、区間や機材によってランクが分かれています。
今回この区間で搭乗するのは、エバー航空の最高峰である「ロイヤルローレルクラス」を搭載したボーイングのB777-300ERです。
B777は、台北〜ヨーロッパ線といった長距離線での運航がメインですが、マニラ線でも搭乗可能ということで、今回の狙い目だった路線です。
フライト時間が2時間強と少し短いのが残念ですが、評判の良いエバー航空の最上級クラスを堪能します。
【第5レグ】マニラ→羽田 B787-9 ANAビジネス
マニラでの観光を楽しんだ後、東京に帰る直行便はこの旅程で2度目のANAのビジネスクラスとなります。
2レグ目に乗ったのはボーイングのB787-8ですが、今度はB787-9。
主にANAのヨーロッパやアメリカといった長距離に用いられる比較的新しい機材です。
2019年現在マニラ東京間は「B787-9」と「B787-8」の1日2往復が飛んでいますので、当然B789を選択。
ANAの快適フルフラットシートで4時間超のフライトも楽々過ごしていけます。
【第6レグ】成田→台北 B787-10 エバー航空ビジネス
さて前半戦が終了して1ヶ月後の土曜日、今度は台北に向けた後半戦が始まります。
東京から台北はANAが1日3往復飛ばしていますが、今回はエバー航空のビジネスクラスを選択しました。
この旅行で台北〜マニラ便でも1度エバー航空を利用しましたが、今回の成田〜台北間の機材はB787-10。
(画像はB787-9です)
なんと2019年夏に導入されたばかりの出来立てホヤホヤの最新鋭機材です!
クラスは当然最上級の「ロイヤルローレルクラス」。最新機体のビジネスクラスを満喫します。
【第7レグ】台北→ソウル B777-300ER タイ航空ビジネス
台北で1泊後にはソウルに向かいます。
台北からソウルは台湾の「エバー航空」、韓国の「アシアナ航空」などが就航していますが、今回利用するのはなんと「タイ航空」です。
それが「バンコク発、台北経由ソウル行き」の後半部分だけを切り取った以遠権フライトを活用しているからです。
以遠権…航空会社が自国以外の区間を運航する権利のこと。タイ航空の場合「台北〜ソウル」は以遠権となる。
本来東アジアをターゲットとしている特典航空券では乗れないタイ航空に、以遠権フライトを利用してタイ航空のビジネスクラスも満喫します。
その機材はB777-300ERという、長距離国際線に用いられているタイ航空の主力機。
ビジネスクラスは「ロイヤルシルククラス」と呼ばれ、フルフラットになる快適なシートです。
【第8レグ】ソウル→関空 A350-900 アシアナ航空ビジネス
後半の台湾の最終便、そして今回のANAマイル旅の最後を締めくくるのがアシアナ航空のビジネスクラスです。
とても朝早い便を選択しましたが、これはアシアナ航空の最新鋭機材のエアバスA350-900に搭乗するためです。
2017年に就航したばかりのこの最新機は、エコノミークラスでも快適と言われていますが、搭乗するのは当然ビジネスクラス。
アシアナ航空でも最新の機体にのみ搭載されている「ビジネススマーティウム」という座席は、長距離での運用をベースにしているためフルフラットになります。
18.5インチの巨大モニターを搭載しているとのことで、1時間45分のフライト時間の短さが逆に恨めしく思えます。
4. かかったマイル・費用は?
それでは今回の特典航空券の発券でかかった費用やマイル単価を計算してみます。
必要マイル数と払った総額
今回は日本発でZone3「アジア1」の提携航空会社特典航空券で発券しました。
今回の旅程では日本以外で乗り継ぎを行なっていますので、日本発は「Zone1-B」となります。
ビジネスクラスで日本発Zone1-BからZone3までの場合、43,000マイルです。
今回はこれに燃油サーチャージや諸税がかかり、
43,000マイル+38,180円
がトータルの費用となりました。
1マイルはいくらになった?
以上8行程の飛行機を現金で買っていくと、合計額はなんと700,760円となります。
この金額から現金で支払った分を差し引いて、マイル数で割ると、
(700,760円ー38,180円)÷43,000マイル≒15.4円
となりますので、1マイルあたり15.4円で使えたことになります。
ANAのゴールドカードだったら、単純に還元率は15.4%となるわけですから、クレジットカードの還元率としては破格に活用できたと思います。
5. 特典航空券はルート検索だけでも楽しい
ANAの特典航空券は、マイルを持っていなくても会員番号さえあればルートを検索することができます。
マイルはただ漠然と貯めるのではなく、「こんなビジネスクラスに乗ってみたいな」とイメージすると貯めるモチベーションも湧くと思います。
今回の記事がマイル発券のルートを考える際の参考にしていただければと思います。