羽田や成田といった大きな空港になると、いくつかの「ターミナル」に分けられています。
乗る航空会社や飛行機に合わせ、利用するターミナルが決まるのが一般的だと思います。
しかし、ドイツのフランクフルトの空港には、実は「VIPしか使うことができないターミナル」があるのをご存知でしょうか?
入ることが許されるのは、片道100万円前後のファーストクラスに乗る限られた富裕層のみ…。
その中はまさに豪華絢爛、空港とは思えないほどのVIPなサービスを受けることができます。
そして、今回当サイトの筆者がそのターミナルを利用することができました。
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ファーストクラス専用ターミナルがある空港
一般的にファーストクラスに乗るお客さんが出発までの時間をゆっくり過ごす場所、それが「ファーストクラスラウンジ」です。
ファーストクラスラウンジは、主要な空港であればどこにでも用意されており、羽田や成田にも「ANA SUITE ROUNGE」が存在しています。
しかしこれらのラウンジは、あくまで一般の人が使うターミナルの中にありますので、荷物検査や出国審査は普通に行う必要があります。
そんな中、
ということで、ファーストクラス専用の建物をわざわざ用意している空港があるんです。
フランクフルトの空港には「Terminal1」と「Terminal2」という2つのターミナルがあり、ほとんどの客がどちらかのターミナルを利用して出発します。
しかしGoogleMapで見てみると、それとは別に「Lufthansa First Class Terminal」という小さな建物が用意されているのがわかります。
これが世界でも数少ない、ファーストクラスの乗客のためだけに作られた伝説の「ファーストクラスターミナル」なのです!
ファーストクラスターミナルへのアクセス
ではルフトハンザファーストクラスターミナルへはどうやってアクセスするのか?
片道100万円のチケットを買うような人たちなので、本来はタクシーやリムジンなどで直接ファーストクラスターミナルに向かうのでしょう。
ただ私はしがない庶民トラベラー。背伸びしてもしょうがないので当然電車で行きました。
メインターミナルにも、ルフトハンザのファーストクラスチェックインカウンターがあるので、そこでチェックイン&荷物を預けることにしました。
当然、ここには一般のお客さんがたくさんいます。
しかし、ファーストクラス専用のチェックインカウンターとなると、さすがに人が全くいません。
チェックインが完了するとチケットが渡されます。Fの文字が輝かしいです…。
ただチケットはそのまま渡されるわけではありません。
ファーストクラス客のみ、このチケットホルダーに入れて渡されます。
そして、スーツケースもこちらで預けました。
ファーストクラス自体は北京までのフライトですが、荷物はその先の乗り継ぎも含めて東京までお願いしました。
返却時に優先的に出てくる「PRIORITY」のタグも貼られ、準備万端で預けられていきました。
徒歩でのアクセス方法
カウンターからファーストクラスターミナルへは徒歩で行きます。
今回はちょうどルフトハンザの係員の方が近くまで行くとのことだったので、連れて行ってもらいました!
せっかくなので、スタッフに色々質問してみました。
ということなので、皆さん利用する際は堂々と徒歩で行きましょう!
メインターミナルからは歩いて5分くらいです。
建物を出て左に向かいます。
タクシープールが見えてくるので、そのまま歩くと…。
見えてくるのがこの建物が例のアレです。
壁にデカく「Lufthansa First Class」と書かれています。マジでファーストクラスの客のためだけに作ったんですね…。
ファーストクラスターミナルに突入!
では憧れのファーストクラスターミナルへ、ドキドキの突入です。
カッコ良いロゴと謎の盆栽が出迎えてくれます。
しかしここには係員はいません。ロビーは2階なので、エレベーターで2階に向かいます。
エレベーター降りて歩くと、すぐに係の方が笑顔で歩み寄ってきてくれました。
チェックインは完了しているので持っているチケットを見せると、すぐに手荷物検査ということです。
タクシーとかリムジンで乗り付けたら、こっちが入り口になります。
↑もし直接ターミナルに来たら、ここでチェックイン等を行うそうです。
こちらのソファはまだラウンジの中ではありません。チェックインを待つためだけの空間です。
建物の入り口のすぐのところにセキュリティチェック(手荷物検査)があります。
レーンは2つあり、4名もの係員の方がいらっしゃいました。が、当然誰も使っていません。
ターミナル内部の設備の紹介
ではいよいよ中に潜入していきます!
ということで、中の設備を一通り案内されました。
説明終了後、ターミナルにいる間はパスポートを預かる(!)ということなので、係の人に預かってもらいます。
そしてさらに言われたのが、
つまり搭乗時間を気にせず、ひたすら食う飲む寝ると好きなだけゆっくりしてて良いということです。
ということで、この時点で出発までの5時間をこのユートピアみたいな空間で過ごすことになります。
中の様子
改めて中を一通り紹介します。
セキュリティチェック抜けてすぐのところに、この空港内で利用客が少ないであろう免税店があります。
中はかなりのお値段がする商品が多いです。当然ですが笑。
そして、こちらがファーストクラスターミナルの内部です!
圧倒的おしゃれすぎる空間…。
何よりも驚きなのが、空間の広さに対して全然人がいないことです。常に座席の半分以上が埋まることはありませんでした。
70インチ以上はありそうな超大画面の曲面テレビ。
愛煙家のための喫煙ルームの中にも、ソファやアルコールがあります…!
それ以外にもVIPを感じさせたのがこれ。
トイレの洗面台ですが、手を拭くのは「ペーパータオル」ではなく、マジの「タオル」です。
下のゴミ箱にタオルがそのまま捨ててあります。うーん、VIPは違う…。
バリエーション豊かな椅子
VIPのためのファーストクラスターミナル、くつろぎのための工夫に余念がありません。
王道のソファータイプの椅子や、
オットマン付きの椅子もあり、
一番驚いたのは、こちらの椅子。
ただの椅子ではありません。
なんと、電動のロッキングチェアなんです!
この椅子は我らが日本のパナソニック製!調べたところ、「YASUMI」という椅子だそうで、海外にだけ展開されている商品のようです。
お値段なんと3500ユーロ(=40万円)!!うーん、揺れるだけなのに…。
どの椅子にもコンセントは常備されています。日本式もあるので安心!
そしてどの机の上にもナッツやらおつまみやらが置かれています。
まさかのバーカウンターあり
航空会社ラウンジといえば、出発前にワインやビールといったアルコールを楽しめる場所でもあります。
…が!ファーストクラスターミナルは当然次元が違います。
なんと建物内にバーカウンターがあり、とてつもない種類のボトルたちが並んでいます…。
もちろん全部無料。
これだけボトルがあるので、当然メニューもこの文字の大きさで全16ページ。
ちなみに日本酒は浦霞が3種類ありました。こだわりがすごい!
バーカウンターにあるこちらの色とりどりな瓶の中身は、ドイツのグミとして有名なハリボーです!
実際に取って食べても大丈夫です。味は普通のハリボーでした。
アルコールはバーカウンターで嗜んでも良いですが、注文したら座っている席まで持ってきてくれます。
チェスもありました。一人なのでやる相手はいません…。
ラウンジ内に高級レストラン!?
ファーストクラスターミナルを利用する際は、極限までお腹を空かせてくることがオススメです!
なぜならこちらのターミナル、なんとレストランがそのまま入っているからで…!
めちゃくちゃ高級そうですが、当然ターミナル利用者は全て無料。好きな時に好きなだけ飲み食いしてOKなんです…!
自分が行ったレストランの中で、間違いなく最高級のものですね。
席に座るとドリンクオーダーが来たので、ドイツの生ビールにしてみました。(ワインは多すぎて分からないので)
何の料理があるかは、このめちゃくちゃカッコ良いメニューに全部書いてあります。
スタッフの方曰く、
とのことでした。
メインはとりあえず一番高そうな牛フィレのステーキを注文しました。
ビュッフェの方も、前菜から一品ものまで半端なくメニューの数があり、そしてどれも美味しそうであります…。
日本人大好きなお米もあるのは良いですね!
モンスターハンターのような肉の塊が置いてあったり…。
こちらは生ハム切り落としマシーン(初めて見た)で切り落とされたての生ハム。
チーズやサラミ、ハム等はそれぞれ何種類あるのか、というレベルで豊富なラインナップ。
そして席で実食!
どれも美味しいのですが、ビュッフェの中でも私が特に美味しかったと感じたのは、
- トリュフソースのマスカルポーネ
- 地中海風シーフードサラダ
- スモークサーモン
ここらへんは絶品なので、是非試してみてください…。
さて、フィレステーキが来ました…。
分厚い!そしてこれを切ると、
これは、今まで自分が食ったステーキの中で一番美味しいです…。
シャンパンも注文しました。種類は5種類もあるので、上から順番に頼んだら美味しかったです。
他の方を見てみると、ある方は楽しそうに、そしてある方は仕事をしながら忙しそうに食事をしています。
こちらはドイツの伝統料理、シュニッツェルです。(日本のとんかつを薄くしたような肉料理)
そしてスイーツもさすが本場のドイツ、バリエーションがすごい。
多分、この日一番食べた客だと思います。それほどどの料理も絶品すぎるのです。
食後のアイスコーヒーを注文したら、おしゃれなグラスで出てきました。
ということで是非ファーストクラスターミナルに行くのであれば、お腹をすかせて朝から行きましょう!
最高のベッドで仮眠が取れる
さて食べに食べて眠くなっても大丈夫。椅子で休むこともできますが、専用の仮眠室も用意されています。
こちらは係の人に利用したい旨を伝えて、空いていれば利用できます。
壁についているマークからはリクライニングチェアでもあるのかな?と予想されますが、
中で待っているのは、もはやホテルの客室のようなベッドのある空間です。
中にはちゃんとお水も用意されていますし、4つ星以上のホテルのような空間。
壁に苔とまりもがくっついたようなアート(失礼)もあります。
バスタブ付きシャワーに挑戦するも…
ラウンジといえばシャワーですよね!特にファーストクラスなら飛行機でパジャマで過ごせますから、乗る前はさっぱりしておきたいところ。
しかしこちらのファーストクラスターミナル、なんとただのシャワーだけでなく、まさかのバスタブ付きのシャワーがあるとのこと!
これは日本人として一風呂浴びねばと思い、こちらのカウンターで利用の順番待ちを申し込みました。
のですが、私の前に1人しかいなかったのに、なんと2時間半経っても全く空かず…。
搭乗時間も近かったので泣く泣くシャワーで我慢…。
バスタブの様子ですが、ウィキペディアにフリーの画像があったので載せておきます。
ワンポイントアドバイス
ファーストクラスターミナルといえど、バスタブ付きは数に限りがあります。
各自の利用時間も長くなると思うので、もし本当に利用したい場合はターミナルに着いたら真っ先にバスタブ付きのシャワーの状況を聞いて入るなり順番待ちした方が良いです…!
ということで妥協したシャワーがこちら。
まあ当然綺麗でおしゃれな空間です。
シャンプーやコンディショナーといったものは、全てイタリアの超高級ブランドのエトロの色とりどりのボトル。
そして本来はバスタブに入るときにもらえるのでしょうが、今回は特別にエトロのバスソルトと湯船に浮かべるアヒルももらえました。
なんとアヒルは、こちらのファーストクラスターミナル限定のデザインとなっています…。
ここに来るリッチな方々は、もらったアヒルを子供にプレゼントして自宅の超ゴージャスなお風呂で浮かべるのでしょう。
ですが私の家は東京の手狭な賃貸…家にシャワーしかなく、アヒルが浮かぶバスタブさえありません。
その結果、私と一緒に東京に帰ったこのファーストクラス限定のアヒルは「カップ麺の蓋を抑える役」に就任しました。
ちなみに歴代のアヒルはターミナルの入り口に飾ってありました!
毎月のようにファーストクラスを利用している人はコンプリートしているんでしょうか…。
ワーキングスペースもあり
仕事する人のために、集中できるワークスペースも用意されています。
一般的なラウンジのワークスペースってどこも埋まっている印象がありますが、さすが一流の経営者を迎えるファーストクラスターミナル。
ワークスペースも5箇所完備しているので、絶対に空いています。
中にパソコンがある部屋もあります。
何より個室でドアを閉められるので、周りの音を気にせず集中して作業ができます!
ターミナルから出るときもVIPな送迎
さて5時間たっぷり満喫した時間もあっという間に終わり、いよいよ搭乗の時。
と思っていたら、出発40分前くらい前に男の方が笑顔で歩み寄って来ました
そう、ここは2階ですので、エレベーターで1階に降ります。
先ほどターミナルの入り口で荷物検査はしましたが、出国審査はまだです。
ファーストクラスターミナルでは当然出国審査も完結します。警察の人が在中していますからね!
あいさつして一瞬で出国は完了しました。さらばドイツ。
こちらで航空券の行き先と時刻の最終チェックをします。
しかし、ちょっと待ってください。
飛行機が止まっているのあくまでメインのターミナルであって、この建物から飛行機までは距離があります。
では、我々はこれからどのように飛行機まで移動するのでしょうか?メインターミナルへの連絡バスでもあるのでしょうか?
違います。ファーストクラスの乗客は飛行機の真下まで直付けされるのです。
しかも車はあのポルシェ。
今回の北京行きの搭乗口はとても近く、歩いても5分もかからないと思いましたが、それでもポルシェ。
あっという間に飛行機の下に直付けされました。
こんなところから飛行機やボーディングブリッジを見ることはないのではないでしょうか?
もちろん乗り場は高いところにあるので、そこまで関係者専用のエレベーターで登ります。
セキュリティは厳重なので、係員の方のカードキーがないとエレベーターは動きません。
あとは普通に搭乗する時と同じように、機内に乗り込みました。
ここから先はファーストクラスの機内の様子をまとめた記事でお伝えしています。
とにかく最初から最後まで、本当に貴重な体験をさせていただきました。
一生で行く機会があるかはわかりませんが、是非皆さんも行く機会がありましたら、お腹をすかせて早めに空港に行きましょう!
誰が利用できるのか?利用条件を整理
さて、この豪華なファーストクラスターミナルはどうやったら利用できるのでしょうか?
フランクフルトからファーストクラスに乗れば誰でも利用できるのか?というと、利用条件はそんなに簡単なものではないのです…。
フランクフルトのラウンジの3つのランク
実はフランクフルトの空港には、ランクに応じて3つのルフトハンザ航空のラウンジが用意されています。
- ファーストクラスラウンジ/ターミナル(今回利用)
…ルフトハンザのファーストクラス利用客のみ - セネターラウンジ
…提携航空会社のファーストクラス利用客 - ビジネスラウンジ
…各社のビジネスクラス利用客
他の空港で「ファーストクラスラウンジ」と呼ばれるランクは、フランクフルトでは上から2番目の「セネターラウンジ」のことを指します。
よって、ANAなどの提携している会社のファーストクラスに乗っても、上から2番目のセネターラウンジまでしか利用できません。
つまりフランクフルトのファーストクラスターミナルを利用するための条件は2つで、
の両方を満たしている必要があります。
チケットの価格は?
ではフランクフルト発のルフトハンザのファーストクラスのチケットはいくらで売っているのか?
目的地や季節によって多少の変動はありますが、ほとんどのチケットが「100万円前後」という超高額なお値段になっています。
今回私は、フランクフルト〜北京のフライトを利用しましたが、そのファーストクラスの定価はなんと98万円。
そもそもファーストクラスって基本的にヨーロッパから東アジアやアメリカといった長距離線しか運行していないんですよ。
そしてルフトハンザ自体がブランドのある航空会社で、ファーストクラスはセールなどを行わないことも影響していると思われます。
どうやってチケットを入手したか?
このサイトの筆者である私は、実は20代前半の身。
家賃が激安のオンボロマンションに住んでいるような身ですので、当然1回のフライトに100万円なんて値段は払えません。
ではどのようにしてファーストクラスのチケットを入手したのか?
私はANAのマイルをタダで大量に貯め、それを今回ルフトハンザのファーストクラスのチケットに交換したのです!
ANAマイルで航空券本体の料金は支払われるので、このフライトに対して手出しで支払ったのは、燃料代や空港税等でたった2万円くらいですね。
逆に言えば、ANAのマイルがあったからこそ、普通の日本人が一生体験できないような貴重な体験ができたと言えるでしょう!
「ではどうすればANAのマイルを大量にタダで貯められるのか?」
その方法をここで書くと長くなってしまうので、別の記事にまとめたいと思います!
さて肝心の機内の様子はどうだったのか?極上のルフトハンザファーストクラスの記事もご覧ください!
ドイツまでの往路は中国国際航空のファーストクラスも体験しました!比較してみると面白い発見があります!