つみたてNISAを始めた時、金融機関選びと同じくらい悩むのが「商品選び」だと思います。
今回は東京大学を卒業してFPとして活動する私が、自分のつみたてNISAの運用商品として選ぶ”3つのおすすめ銘柄”を紹介します。
各商品について「どんなところがオススメか?」「どんな人にオススメか?」という簡単な解説も書いておきましたので、銘柄選びの参考にしてもらえればと思います。
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1. 今回紹介するオススメ銘柄の考え方
商品の説明に入る前に、今回のピックアップした銘柄を選ぶ上での考え方をお伝えします。
つみたてNISA・投資信託初心者を想定
今回の記事は「これからつみたてNISAで資産運用を始めようと思っている」という初心者の人向けとなっています。
投資信託のしくみや分散投資の効果について深く理解していなくても、とりあえず買っても間違いのない商品を取り上げています。
「1つだけ」買うならという基準で選定
今回の記事で紹介した投資信託は「つみたてNISAの運用で1本だけ買うなら」という基準で選びました。
つまり記事を参考にした人が、紹介した投資信託の中から1つだけを選んで購入してもらえれば大丈夫なようにピックアップしました。
運用者の性格や年齢によってオススメ商品が異なる
1つだけ選べば良いなら、3つも商品を紹介する理由は何か?
その理由は運用者の性格や年齢によって商品選びが変わってくるからです。
例えば私のような20代の独身の人と、50代で家族がいる人では全く同じ商品選びになるとは思えません。
また短期的なリスクを許容できるかどうかは、性格によって大きく変わってきます。
今回は、初心者の人が記事を読んだだけで選びやすいよう、「ポケ○ン」の最初の1匹のごとく、3つの候補を提示したいと思います。
2. オススメ商品一覧
今回紹介するつみたてNISA対象銘柄はこの3つです。
それぞれの商品で、商品の簡単な説明と選定理由、そしてどんな人にオススメかを解説していきます。
3. ①eMAXIS Slim 先進国株式インデックスファンド
1つ目に紹介するのは、三菱UFJ国際投信が提供する「eMAXIS Slim先進国株式インデックスファンド」です。
本当にオススメできる投資信託で、私はつみたてNISAの銘柄がeMAXIS Slimシリーズだけになっても困らないと思うほどです。
①-1. 商品の概要
日本を除く先進国の株式全体の値動きと連動している投資信託で、世界の主要国に投資しているのと同じ効果を持ちます。
信託報酬は年率0.107892%となっていて、2019年7月現在でつみたてNISAで購入できる投資信託の中で最低です。
①-2. 選定理由
eMAXIS Slim 先進国株をオススメする理由は主に2つあります。
圧倒的な低コスト
eMAXIS Slimシリーズの最大の武器は、信託報酬の圧倒的な低さです。
このeMAXIS Slim先進国株は、つみたてNISAで購入可能な投資信託の中では最低となるコストの安さです。
つみたてNISAでは買った商品を長期間保有することになりますから、毎年発生する信託報酬を低く抑えることがとても重要です。
信託報酬が年間で約0.10%であるeMAXIS Slim先進株は、ほぼノーコストで保有できると素晴らしい商品であると言えます。
投資先が先進国株式と初心者には適切
先進国株式というオーソドックスな商品であることも評価できます。
今まで現金しか保有していなかった資産運用初心者にとって、先進国株式という定番な商品は、資産運用の値動きに慣れるにはぴったりです。
①-3. デメリット
株式ですので、リーマンショックのような相場の暴落時には一時的に価格が下がることになります。
しかし先進国株式の場合は、大暴落が起こったとしても価格の回復がとても早い特徴があります。
そのため20年という長期間保有し、今後毎年積み立てをしていく「つみたてNISA」のしくみであれば、この点がデメリットになりにくいと言えます。
①-4. こんな人にオススメしたい
・特に商品にこだわりがない人
・初めて資産運用で慣れたい人
4. ②楽天・全米株式インデックス・ファンド
2つ目の候補は、楽天投信から「楽天・全米株式インデックス・ファンド」です。
②-1. 商品の概要
通称「楽天バンガード全米株式」と呼ばれように、アメリカの会社の株式の値動きに連動しているインデックスファンドです。
信託報酬は年率0.1596%となり、アメリカが投資対象となる投資信託の中では最も低い値となっています。
②-2. 選定理由
楽天バンガード全米株式(楽天VTI)をオススメする理由を紹介します。
アメリカという国の安定感
アメリカという国の経済は、他の先進国よりもダントツで安定しているという強みがあります。
1910年代の第1時世界大戦から現代に至るまで、アメリカは世界のトップであり続けました。
アジアの新興国が台頭している中でも、20年という期間であればアメリカの地位が大きく変わるとは考えにくいです。
むしろGoogleやAmazonといった企業を見ると、グローバル化を活用してアメリカの企業が世界中で稼ぐ可能性の方が高いと思います。
そして日本やヨーロッパの先進国で急激に少子高齢化が進む中、アメリカは出生率が高いため緩やかであることも要因としてあります。
ほぼ全ての米国企業をカバーしている
そして全米株式の商品の中でも、楽天バンガードが特有の強みとして、アメリカ企業のほぼ100%をカバーしていることが挙げられます。
他の米国株式の投資信託が大きな会社のみの株を対象としているのに対し、この楽天バンガード全米株式は中小企業まできちんと投資できます。
なぜ小さな会社にも投資したいかというと、今の大企業も元々は中小の会社から始まっているからです。
つまり将来のスター企業が小さい企業のうちから投資できれば、大きくなった時により大きなリターンが得られます。
そう考えた時に、大型株だけでなく中小型株にも安い手数料で投資できるのは楽天バンガード全米株式だけなのです。
②-3. デメリットは?
投資先がアメリカだけなので、地理的に見ると資産が分散されていないことが挙げられます。
ただ現代では経済のグローバル化が進んでいるため、世界中の相場がほぼ連動して、分散投資があまり意味をなしていない状況です。
その状況であれば、株価の上昇率が高くかつ安定しているアメリカ株式だけを保有しても問題ないと言えるのではないでしょうか。
②-4. こんな人にオススメしたい
・AmazonやGoogle、Appleなど、米国企業のコンテンツにどっぷりな生活をしている自信がある人
5. ③楽天・バンガード・バランスファンド(均等型)
3つ目に紹介するのが、楽天・バンガード・ファンド(バランス均等型)です。
上の2つが株式のみを対象としていたのに対し、こちらはバランスファンド(株式と債権をミックスした商品)となっています。
③-1. 商品の概要
バランスファンドとは、様々な商品を一定の割合ずつ保有する投資信託を指します。
この楽天バンガードのバランス均等型では、「株式:50%」+「債権:50%」の割合で保有することになっています。
つまり、全世界の株式を50%保有し、残り50%で全世界の債権を保有している効果があります。
信託報酬は年率0.2496%となり、バランスファンドの中では優秀な部類となっています。
③-2. 選定理由
楽天・バンガード・ファンド(バランス均等型)を取り上げた理由を紹介します。
一時的な暴落に強い債券が含まれている
株式と債券をバランスよく組み込むことで、急な暴落の時にも資産の減少額を抑えることができます。
つみたてNISAの運用をする人の中には、運用する資金はあるけど、その資産を大きく減らすわけにはいかない人もいると思います。
こういった「資産運用をしなければいけないが減らせない」という人が選ぶ際には、伸び率のある株式と暴落に強い債券をバランスよく持つのも効果的です。
日本株・日本国債の割合が少ない
そしてバランスファンドの中でも、楽天・バンガード・バランスを選んだ理由は、国内株式や国内債券の割合が少ない商品だからです。
バランスファンドの多くは日本国内の株式や債券を一定割合保有するものが多いです。(国内株式:25%など)
しかし、つみたてNISAの運用で「国内株式や国内債券」を多い割合で保有することを私はオススメしません。
詳しい理由は省略しますが、簡単にいうと日本株や日本国債はリスクの割にリターンが低いからです。
その点で楽天・バンガード・バランスファンドは、株式と債券を世界各国の規模に応じて投資しています。
③-3. デメリット
本商品は暴落リスクが怖い人のために選んだバランスファンドですが、債権を含む商品はデメリットもかなり多いです。
つみたてNISAで「債権とのバランス」はそもそも不要
まず、債権が半分を占めるため資産の伸び率がかなり鈍ります。
私からすると20年非課税というメリットは、株式の運用によって最大限享受できるものであり、債権ではあまり効果がないと言えます。
たしかにリーマンショック級の暴落が発生した時に、瞬間風速的な下げ率を考えると債権の方が安全です。
しかしその後株式は急激に元の水準に回復するのに対し、債権はなかなか伸びていきません。
つまり、長期間保有の場合は株式より債権の方が損するリスクが高いのです。
信託報酬が高い
債権を含むことによって、運用のコストである信託報酬が高くなります。
上で紹介した2つの株式のみの投資信託と比べて2倍の信託報酬となっています。
繰り返しとなりますが、非課税であるつみたてNISAは運用に必要なコストを減らすことが重要です。
その側面からも債権を含んだバランスファンドはイマイチである点は留意しておきましょう。
③-4. こんな人にオススメしたい
・10年以上運用せず、資産を途中で売却する可能性がある人
6. オススメ商品を購入できる金融機関
上で紹介した商品は、どれも信託報酬が低い投資信託であるため、購入できる金融機関は限られています。
二大ネット証券である「楽天証券」と「SBI証券」であれば3本のいずれも買い付けを行うことは可能ですので、まだ口座を開設していない場合は、この2つのいずれかで行うことをオススメします。
もし普通の銀行や大手証券会社でつみたてNISA口座を開設してしまった場合には、来年分からネット証券に切り替えましょう。
7. つみたてNISAはとにかく始めることが大切
初めて資産運用を始める時、「損をしたらどうしよう…」と不安になる気持ちは痛いほどわかります。。
しかし、つみたてNISAは商品で悩むことよりも早く始めることが一番重要であることを忘れてはいけません。
つみたてNISAという少額のつみたて投資で資産運用をはじめるのであれば、ベストなタイミングは間違いなく「今」です。
今回のオススメ商品の紹介で、あなたの運用の悩みが一つ解消できれば幸いです。