つみたてNISAでも圧倒的な信託報酬の低さで人気な「eMAXIS Slim」シリーズ。
今回はeMAXIS Slimシリーズの8つのファンドの違いを図解し、そしてeMAXISシリーズ内でも初心者にオススメできる商品を紹介します。
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1. 投資信託における投資地域の違いとは?
まずはつみたてNISAや投資信託において、投資先の地域をどのように区分するかをおさらいしましょう。
eMAXIS シリーズに限らず、つみたてNISAや投資信託で資産運用をする際には大切な知識となります。
1-1. 投資地域区分では世界を3つに分ける
投資信託やETFで「どこの地域に投資するか?」という投資対象を考える際には、世界を大きく3つに区分するのが適切です。
1-2. 国内=日本
一番わかりやすいのが「国内」です。当然日本のことを指します。
国内株式といえば日本企業の株式、国内債券といえば日本政府の国債のことを指します。
1-3. 先進国=アメリカ、ヨーロッパ(日本を除く)
投資の世界で「先進国」という場合、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアを指します。
そして一番誤解を招きやすいポイントが、この投資地域の区分における先進国に日本は入っていないということです。
また「どこまでを先進国とするか」という定義は指標によって異なります。
ただおおよその商品で20カ国強が対象となっています。
1-4. 新興国=その他の地域
新興国の区分には、主に日本を除くアジアやアフリカ、中南米の国々が入ります。
2000年以降の経済成長が著しい「BRICKs」(中国、インド、ブラジル、ロシア、南アフリカ)も全て新興国に扱われます。
2. eMAXIS Slimの株式ファンドは8本
現在eMAXIS Slimシリーズには、株式だけを投資先とするファンドが8本設定されています。
どれも名前が似ていて混乱してしまう人も多いでしょう。
そこで先ほど紹介した世界地図で、それぞれの商品がどこを投資対象としているのか確認しましょう。
3. 海外株式(特定地域)
海外の特定の地域に投資できるeMAXIS Slimのファンドは3つ用意されています。
3-1. eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」は日本を除く先進国に投資できる、eMAXISシリーズでも一番人気のファンドです。
投資先はアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアとなっています。
先進国に投資する特徴からコストが非常に安く、つみたてNISAの対象商品の中で最も低い信託報酬が設定されています。
ちなみに先進国の中の内訳は会社の規模と比例しているので、このファンドの約65%はアメリカ企業です。
3-2. eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、先進国の中でも世界一の経済・軍事大国であるアメリカだけに投資できるファンドです。
このファンドが指標としているのは、アメリカの上場企業の上位500社の株価の平均である「S&P500」です。
そのためアメリカの中でも大企業を中心に投資するファンドと考えて良いでしょう。
3-3. eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」は文字通り新興国の株式に分散して投資できるファンドです。
投資先は日本を除くアジア、アフリカ、中南米です。
これから大きく経済成長する国々をターゲットにしていますので、高いリターンが期待されています。
ただデメリットとして、政情が不安定なことで暴落リスクもかなり大きい点や、運用コストが他のファンドより高くなりやすい点に注意しましょう。
4. 海外株式(全世界)
次に世界全体の株式に投資できるファンドを紹介します。
eMAXIS Slimシリーズでは全て「全世界株式」という名前ですが、内訳に応じて3つの商品が用意されています。
4-1. eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は文字通り全世界の国々の株式に満遍なく投資できるファンドです。
ただ満遍なくといっても、ファンドの内訳は国(の会社)の規模に比例しています。
1位のアメリカが53%、2位の日本が7%と続き、上位10カ国で75%が占められています。
4-2. eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
「eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)」は「日本株」「先進国株」「新興国株」をそれぞれ3分の1の割合ずつ投資できるファンドです。
全世界株式(オール・カントリー)では、内訳が国や会社の規模と比例するため、新興国の株式等は割合的にかなり低く設定されています。
それを投資地域ごとに3等分することで、強制的な地域的分散をできるのがこのファンドの特徴です。
4-3. eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」は、全世界の株式の中から日本株だけを取り除いたファンドです。
つまり投資地域の区分で言えば、「先進国」+「新興国」という組み合わせになっています。
4-4. 全世界型で選ぶならオススメは?
3つのeMAXIS Slimの全世界型の中で1つ選ぶなら、どれがオススメなのでしょうか?
わかりやすさなら「オール・カントリー」
一番初心者にもわかりやすく投資できるのは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」だと思います。
本来資産運用では、値上がり・値下がりによる資産割合のズレを調整が必須です。(リバランス)
しかしこのファンドを1本持っていれば、ファンドの方で自動的に中の割合を調整してくれますので、何もせずとも世界中に上手に分散投資が可能です。
トーダイ式!の個人的な注目は「除く日本」
私個人が注目しているのは、「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」です。
日本経済や日本企業の収益性の先行きの不安、ほとんどの人が資産の大半を「日本円」で保有している現状を考えれば、投資信託では日本株以外に投資すべきだと考えています。
そんなとき、日本以外の国々で株式の割合に応じて分散して投資してくれる全世界株式(除く日本)はとても良いファンドと言えるでしょう。
日本株に投資したくない人や国内の株は自分で選んで買いたいという人は、外国株で「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」をチョイスするのがおすすめです。
- 何も考えずに全世界に投資したい
…オール・カントリー - 日本株に投資したくないor国内株は自分で選びたい
…除く日本
5. 国内株式
最後に日本の国内株式に投資できるeMAXIS Slimシリーズの2ファンドを紹介します。
5-1. eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は日本の日経平均株価と連動した動きを目指すファンドです。
日経平均を簡単に説明すると、日本の上場企業の中でも規模が大きい上位の225社の平均のことです。
つまり、eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)では日本国内の大企業だけに投資できると考えれば良いでしょう。
5-2. eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
日経平均が大企業だけを投資対象とするのに対し、より様々な日本企業に投資できるのが「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」です。
TOPIX(トピックス)とは、東京証券取引所一部上場企業の約1800社の株価の平均のことです。
つまり日経平均の225社に入らないような中堅の企業にまで幅広く投資できるのが、TOPIXをベンチマークとするファンドの特徴です。
日本全体の会社に分散投資したいという目的ならば、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が適切でしょう。
5-3. 国内株インデックス投資なら日経平均とTOPIXのどっちが良い?
つみたてNISAなどを利用した投資信託でのインデックス投資ならば、オススメはTOPIXをベンチマークとした「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」です。
日経平均の方がここ数年のリターンは高いですが、日経平均では資産運用で重要な分散という点で疑問があります。
例えばユニクロで有名な「ファーストリテイリング」という会社の株価は、日経平均の約10%も占めています。
そのため、日本株の中であれば東証一部の約2000社に分散できるTOPIXベースのファンドを選ぶべきと考えられます。
ただそもそもの話として、一般サラリーマンの投資額で成長率が低い日本企業に投資する必要があるのか、一考の余地があります。
6. eMAXIS Slimシリーズの選び方まとめ
株式を投資対象としたeMAXIS Slimシリーズの8ファンドの違いはわかりましたでしょうか?
最後にそれぞれの投資対象の中でオススメをまとめると、
- 圧倒的低コストで誰にでもオススメできる「先進国株式インデックス」
- 全世界にきちんと分散できる「全世界株式(オール・カントリー)」
- 日本株を除外できる「全世界株式(除く日本)」
この3つがeMAXIS Slimシリーズでも注目すべき商品と言えるでしょう。